• 解説タケダ図鑑 Vol.13

血液からつくられる薬ってナンダ?

血液からつくられる薬
ってナンダ?

解説タケダ図鑑Vol.13

世界的に需要の拡大が続く
医薬品「血漿分画製剤」

血漿分画製剤は、健康な人から提供された血漿から製造される、人々の暮らしを豊かにするための重要な医薬品です。WHOの必須医薬品リストにも収載されています。すでに100年以上にわたり治療に用いられており、希少疾患や難病を抱える患者さん、ときにはその症状が長期にわたって続き、他に治療選択肢のない患者さんのために、医薬品へと転換され患者さんの治療をサポートしています。

Q.1

血漿って?

A.

血漿とは、血液中の赤血球、白血球、血小板を除いた、薄黄色の液体成分のことで、血液量の半分以上を占めています。

血漿は、生命の維持にとって重要な血球、タンパク質、抗体、ホルモン、酵素を身体中に運ぶことで、感染症や病気から人体を守っています。

血液の成分

出典…日本赤十字社:血液の基礎知識

Q.2

血漿分画製剤って?

A.

血漿中のタンパク質を分離・精製することで作られる医薬品です。​

希少疾患や難病の原因となるタンパク質の欠如や不足を補うことができます。生涯を通じた治療を必要とすることが一般的な、血友病や原発性免疫不全もそうした疾患の一例です。また救急救命処置にも使用される治療薬もあるため、その重要性と必要性は国を問わず高くなっています。

しかし血漿中の3,000超のタンパク質のうち、治療に活用されているのはほんの一部に過ぎません。そのため現在は、アルツハイマー病やパーキンソン病、脳卒中といった疾患にも活用の可能性を見出すべく、先駆的な研究が進められています。

分離·精製

出典…
1)WHO必須医薬品モデルリストに見る血漿分画製剤の位置付けの歴史的変遷と現状
2)日本血液製剤協会:血液製剤について

Q.3

血漿分画製剤にはどういう特徴があるの?​

A.

健康な人から提供いただいた血漿からしか製造できません。

血漿は治療薬として使用され、人生を豊かにする可能性があるものの希少かつ人工的に作ることもできません。血漿分画製剤を必要とする患者さんは多くの場合、他に治療選択肢がほとんどないか、ときには全くない患者さんもいます。

さらに、血漿分画製剤の製造は非常に複雑で時間もかかります。一般的な医薬品の製造期間はおよそ3か月ですが、血漿分画製剤の場合、採血から患者さんに届くまでに7~12か月かかります。

血漿分画製剤は製品が完成するまでに12か月近くかかる

※日本では、日本赤十字社が採血事業者として採血を行い、原料血漿の製造業者として検査・貯蓄保管を実施しています。

Q.4

血漿分画製剤のための血漿はどのように確保しているの?

A.

健康な人から成分献血と全血献血という2つの方法で確保されています。

血漿成分献血
全血献血

※日本では「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律」の基本理念として“血液製剤の国内自給”が謳われております。現在は、国が定める需給計画に基づき、国内唯一の採血事業者である日本赤十字社が、輸血用血液製剤の製造過程で得られる血漿(Recovered Plasma)と血漿成分献血により確保する血漿(Source Plasma)を、血漿分画製剤の原料として必要とする国内の製造販売業者に供給しています。日本における献血基準は厚生労働省のホームページをご参照ください。

出典…
1)厚生労働省:献血について知りたい
2)日本赤十字社:献血の種類

Q.5

血漿から医薬品を安全に作れるの?

A.

厳格な基準に従ってドナーと患者さんの両方の安全性を確保しています。​

安全対策には献血の頻度に関する規定や、低リスクのドナーからのみ献血を受けるための厳格な資格基準があり、ドナーは病歴や身体面の総合的な審査を受けてから献血に移ることになります。

日本でも、国が厳格な献血基準を設定しています。

タケダの安全性に関する取り組み

出典…厚生労働省:献血について知りたい

Q.6

希少疾患や難病の治療には、どのくらいの血漿が必要なの?

A.

血漿分画製剤を製造するため、世界全体で年間約6,000万リットルの血漿が使用されています。

1人の患者さんを1年間治療するために必要な血漿量を献血回数に置き換えると、その回数は、治療によって数百回から千回超と、相当数にのぼります。例えば、血友病の場合、1人の患者さんを1年間治療するためには、最大で献血1,200回分の血漿が必要になります。

最大1200回分の血漿
Q.7

世界中で血漿分画製剤の需要の拡大が続く背景とは?​

A.

治療が可能な疾患の診断レベルが上がっていること、血漿分画製剤を使用できる疾患が増えていることなどが挙げられます。​

2024年現在は、世界全体で血漿分画製剤の需給バランスが取れていない状態にあり、血漿の供給量を上回るペースで需要が拡大しています。血漿分画製剤への需要が過去数十年にわたって伸び続けている背景には、血漿分画製剤での治療が可能な疾患の診断レベルが上がり、診断までの期間が短縮されていること、寿命の伸びにより治療期間も伸びていること、新しい適応症が承認されることに伴って血漿分画製剤を使用できる疾患が増えていることがあります。

血漿分製剤
Q.8

血漿分画製剤への世界的需要に対する供給の課題は?

A.

2024年現在、世界でも6カ国(アメリカ、カナダ、オーストリア、チェコ、ドイツ、ハンガリー)でしか民間の血漿収集ネットワークの運営が許可されておらず、世界で必要とされる血漿の90%近くをこれらの国でまかなっている状態です。

血漿分画製剤の需要が現在のレベルで拡大した場合、この状態は持続可能ではありません。そのため現在は、この緊急性の高いニーズへの認識と支援の輪を広げるために様々な活動が展開されています。

世界の血漿の90%をまかなう

※日本では公的主体として日本赤十字社が採血事業を行っています。

Q.9

タケダは日本で血漿分画製剤を製造しているの?​

A.

タケダは、1949年から血漿分画製剤を製造し国内にお届けしてきました。​

現在は、千葉県の成田工場で国内向けの血漿分画製剤を製造しており、その原料となる血漿の多くは、日本赤十字社から供給されています。

成田工場で製造
Q.10

世界で増え続ける血漿分画製剤のニーズに対し、
タケダはどのようなアプローチをとっているの?

A.

新製造工場の建設など、製造能力を高める計画を進めています。

タケダでは2019年、グローバル全体で血漿分画製剤の供給量と製造能力を2023年度末までに65%以上増加させる目標を設定し、この目標を1年前倒しで達成しました。その後、2028年度末までにグローバル全体の製造能力をさらに50%以上増加させるという目標を設定しました。加えて日本では、1,000億円を投じ、世界水準の血漿分画製剤製造施設を大阪に建設することを決定しました。新製造施設は2030年またはそれ以降の稼働開始を予定しており、大阪工場の稼働により、これまでの約5倍の製造能力で、日本および世界の市場に血漿分画製剤をお届けすることを目指しています。

2030年以降、大阪に新製造施設が完成予定。

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